ラクトフェリンとは何なの?

ラクトフェリンという言葉を、あなたは聞いたことがありますか? 最近では、スーパーやドラッグストアでラクトフェリンが入ったサプリメントやヨーグルト等が販売されているので、ラクトフェリンは何なのかを知らなくても、どこかで名前だけは聞いたことがあるという方もいると思います。
ラクトフェリンとは、1930年代にデンマークの科学者によって発見された一種のタンパク質です。 色が赤い事から「赤いタンパク質」とも言われ、哺乳類の乳に多く含まれている成分です。
「ラクト」には乳と言う意味があり、「フェリン」には鉄という意味があり、これらを組み合わせた言葉が「ラクトフェリン」です。 鉄と結合しやすいという特徴があるので、この様な名称で呼ばれています。 現在では、母乳のみならず、涙や唾液、鼻水などの分泌物内にもラクトフェリンが含まれていることが分かっています。
近年、人の体に良い効果をもたらすラクトフェリンは脚光を浴びてきています。 ここでは、その効果について、紹介をしていきます。
ラクトフェリンは体の免疫力を向上させる
生まれたばかりの新生児には初乳をを飲ませた方が良いという事がよく言われます。
赤ちゃんが生まれてから数日後のお母さんの乳には沢山のラクトフェリンが含まれています。 その含有量は、通常の母乳の3倍程度あるということが分かっています。
生まれて間もない赤ちゃんは、とても抵抗力が弱いです。 新生児に初乳を飲ませる理由は、単なる栄養補給だけでなく、ラクトフェリンによって免疫力を高めて、外部の細菌やウイルスによる感染を防ぐ為でもあります。
新生児に初乳を飲ませると、少なくとも半年間はラクトフェリンの効果により免疫力が高くなることが分かっています。 ちなみにラクトフェリンの免疫力向上効果は、赤ちゃんだけでなく、大人でも同じ効果が期待できます。
現在では、癌やC型肝炎と言った病気の予防、ピロリ菌感染の防止に役立つことが分かってきています。 この病気を防ぐ働きを高める免疫力の向上は、人に対するラクトフェリンの最も重要な効果だと言えます。
鉄吸収作用
ラクトフェリンは、鉄と結合をするという事を前述しましたが、ここではその事について詳しく説明をします。
ラクトフェリンは鉄と結合しやすいので、ラクトフェリンを摂取することで食べ物に含まれている鉄分を、より効率よく体内に吸収することができると考えられます。 ラクトフェリンを摂取しながら食べ物を食べるのと、食べ物だけを摂取する場合を比較すると、前者の方がより多くの鉄分を体内に取り込むことが出来るのです。
鉄分を多く体内に取り込むことが出来れば、貧血を防いたり、貧血気味の症状を改善することが出来ます。
ウイルスが生存するためには、鉄分を必要とする場合が多いです。 ラクトフェリンが鉄分と結合をするとウイルスは鉄分を取り込む事が出来なくなり、その結果、ウイルスの活動を抑制することが出来ます。
抗癌作用
体内の免疫システムの一助を担っているナチュラルキラー細胞はラクトフェリンによって、活性化することが分かっています。
ちなみにナチュラルキラー細胞は、血液に乗って体の隅々まで行き渡っており、外敵に対するパトロールをしています。 ナチュラルキラー細胞は、体外から侵入してきた異物を見つけると、その異物を攻撃して排除する働きがあります。
ナチュラルキラー細胞は、癌細胞に対しても攻撃をするという事が分かっています。 ラクトフェリンはナチュラルキラー細胞の働きを活性化させるので、癌にもなりにくくなると考えられています。
抗癌作用がラクトフェリンにはあると言われていますが、上述した様な働きがあるためです。
現在でもラクトフェリンに関する研究は活発に行われています。 今後、さらに研究が進んでくると、今以上に多くの働きや効果が分かってくると予測されます。